人間はなぜ汗をかくの?~汗のしくみと働き

  admin 顔汗原因

緊張すると顔がびしょびしょになるほど汗をかいてしまったり、手のひらにぐっしょりするほどの汗をかいてしまったり…。

近年、このような汗やにおいで悩む人が増えています。「汗、におい=不潔」というイメージが進行し、汗は現代人の大きな悩みのひとつとなってしまいました。なかには多汗の症状がひどくなり、医療機関に行くことを考える人もいます。しかし、人は水を飲めば汗が出るのは当たり前。実際、汗をかかない人間などいないのです

 

そこで今回は、「そもそも人間はなぜ汗をかくのか」「汗にはいったいどんな役割があるのか」について、ご紹介します。

汗が必要な理由

汗かきに悩む人はたくさんいますが、そもそも「汗がもつ役割」について考えることは、あまりないのではないでしょうか。

汗かきさんには不快な汗ではありますが、実は汗は人間の体を動かすために大変重要な役割を持っていて、汗をかかないと人間は死んでしまうのです。

 

体温の上昇を抑える

人間が活動するためには、身体を動かすためのエネルギーが必要です。エネルギーは食べ物を分解、合成することで得られますが、そのとき細胞レベルでは体内にあるさまざまな酵素が使われて化学反応や代謝が行われているのです。

体内で代謝が行われると、熱が発生しますが、この熱がどんどん発生して体温が上昇して、45℃前後になると人間は死んでしまうのです。これは、体内のたんぱく質が変性して破壊されてしまうからです。

そこで、人間は汗をかくことで上手に体温を調節し、熱から体を守っているのです

 

37℃弱に保つ

体内で最も盛んに代謝が行われているのは脳細胞ですが、この脳細胞は体温のちょっとした変化にも敏感に反応します。体温調節中枢は脳の中の視床下部にありますが、37℃弱を指標に調節するように、汗の量をコントロールしています。

これは、人間は身体の機能を最適に保つ体温が37℃弱であるからです。

サラサラ汗とベトベト汗

これまで述べてきた通り、汗は人間が生きていくうえで大変重要な役割を持っていますが、ひとくちに汗と言っても、サラサラした汗とベトベトした汗があります。

サラサラした汗は、汗の減益から血漿の成分だけ血管に戻す機能が十分に働いている証拠なので、汗の粒子が細かくにおいもありません。

「汗をかくと、すっきりする」という人の場合の汗は、このような「水に限りなく近い汗」です。肌のうえでもすぐ乾きますし、体温調節を効率的にできる良い汗です。

 

ベトベト汗は要注意

ベトベトして汗をかいた時に疲労感を感じる場合の汗は、注意が必要です。

汗がベトベト、ネバネバしているのは、血漿成分を再吸収できなかった状態であり、濃度が濃く身体に必要なミネラルが含まれてしまっているからです。そして、このようなベトベト、ネバネバした汗を多量にかくと、慢性疲労や熱中症の原因になることもあります。

また、ベトベト、ネバネバしている汗には、ミネラルなど豊富な栄養分が含まれているので皮膚の常在菌が繁殖しやすく、アンモニア臭がすることもあります。

 

多汗にひそむ病気

最近急に汗の量が増えたという人のなかで、とくに顔の汗が多くなってきた場合は、まず医療機関を受診することをおすすめします。

顔の汗は、糖尿病や甲状腺機能亢進症などの疾患がある場合にも、増えることがあるからです。

 

ベトベト顔汗対策は?

糖尿病や甲状腺機能亢進症の疾患が否定された場合には、更年期障害や精神性発汗が原因である可能性が出てきます。

更年期障害や精神性発汗が原因である顔汗は、心療内科や精神科を受診したり、自律神経失調症に効果的な自律訓練法、顔にも使える制汗剤などを併用することで、改善できる可能性があります。

 

汗腺を鍛える

汗の機能は、汗をかけばかくほど機能が高まるという性質があります。

したがって、汗をどんどんかいて汗腺を鍛えていると、サラサラで無臭の「水に限りなく近い汗」をかくための近道であるといえるでしょう。

 

自律訓練法

不安を感じたり緊張したりした時に大汗をかくという経験をすると、それ以降も「また汗をかいてしまうのではないか」という不安を抱えてしまうことがあります。

潜在意識のなかにこのような不安があると、脳の中は絶えず緊張を強いられ、この緊張がさらに発汗の原因になってしまうことがあります。

このような不安や緊張は、自律訓練法で改善できる場合があります。

身体がリラックスしている状態で「気持ちがとても落ち着いている」「両手両足がとても暖かい」「とても楽に息をしている」と頭の中でイメージするのです。

そして次に自分がよく汗をかく場面をイメージし、一時的に自分を緊張させたうえでまた「気持ちがとても落ち着いている」「両手両足がとても暖かい」「とても楽に息をしている」とイメージしていくのです。

この自律訓練法は、心療内科などで指導を受けられることもあります。

 

制汗剤

顔の汗対策としては、顔汗を抑える制汗剤が有効です。

減汗の効果が期待できるだけではなく、「顔の汗が気にならない」という安心感から不安や緊張がとれて、汗をかきにくくなることもあります。

つまり、制汗剤で顔の汗を抑えることで、「もう大丈夫」という自信を持ち、意識が汗以外に向けられるので、自然に汗をかかなくなるわけです。

 

手術・薬物療法

汗を取り除くために、発汗作用を抑制する薬や不安を取り除く薬を使用した薬物療法が行われることもあります。

ただし、手術・薬物療法はコストもかかりますし、人によっては効果が持続しないこともあります

 

「汗のしくみと働き」まとめ

以上、人間の汗のしくみと働きについてご紹介してきました。

人間は誰でも汗をかくものですし、必要以上に気にする必要はありません。

けれども、汗で悩んでいる人に「気にする必要はない」と言っても無理な話ですよね。

大切なのは、気になっても汗を全くかかないことは無理だと開き直ること。そして、これまでご紹介してきた訓練法や制汗剤などを利用して、「汗とうまく付き合って行こう」くらいのスタンスでいることが大切です。